再発防止策が現場に定着しないのはなぜ?不良の対策を全員に伝えて続けるための6つのポイント
不良やトラブルのあと、原因を調べて再発防止策を決めた。それなのに、しばらくすると同じ不良がまた出る。製造現場では珍しくない話です。再発防止策は、決めることよりも現場の全員に伝わり、続くことのほうが難しいからです。この記事では、再発防止策がその場限りになる理由と、全員に伝えて定着させるための6つのポイントを、書き方の例と合わせて紹介します。
再発防止策が定着しない6つの理由
- 会議で決めて終わる:対策は報告書に書かれたが、現場の作業者には届いていない
- 伝えたのが1回だけ:朝礼で一度話しただけで、休みの人・別の勤務帯・あとから入った人には届いていない
- 対策が「注意する」:「確認を徹底する」「気をつける」は、何をすればいいかが分からず、時間とともに薄れる
- 理由が伝わっていない:なぜその手順が増えたのか分からないと、忙しいときに省かれる
- 同じ作業をするほかの場所に広がっていない:起きたラインだけ直して、似た機械・似た工程には伝えていない
- 続いているかを見ていない:決めたあと、守られているかを確かめる人も時期も決まっていない
対策の「強さ」を意識する
再発防止策には、強いものと弱いものがあります。人の注意に頼る対策ほど、時間とともに守られなくなります。
| 対策 | 例 | 続きやすさ |
|---|---|---|
| 注意する・意識する | 「確認を徹底する」 | ×(すぐ薄れる) |
| 教育する | 作業者に事例と正しいやり方を教える | △(入れ替わりで抜ける) |
| 手順・基準を変える | 手順書に測定の手順を追加する、確認の頻度を上げる | ○ |
| 道具・治具で防ぐ | まちがった向きでは置けない治具、色分け | ◎ |
| 設備で止める | センサーで異常を見つけて止める(ポカヨケ) | ◎ |
すべてを設備で防ぐことはできません。手順や教育で対応する対策ほど、伝え方と、続いているかの確かめ方が大事になります。
全員に伝えて定着させる6つのポイント
1. 「何をするか」を、作業の言葉で書く
「確認を徹底する」ではなく、「段取りのあと、最初の3個の穴位置を測る」のように、だれが読んでも同じ行動になる書き方にします。作業者がすることが1つに決まらない対策は、現場では続きません。
2. 理由も一緒に伝える
何が起きて、なぜその対策なのかを短く添えます。「先月、穴位置ずれの不良が200個出た。原因は段取りのあとの確認が抜けたこと」と分かれば、手順が増えた意味が伝わり、省かれにくくなります。
3. 伝える範囲を決める(水平展開)
起きたラインだけでなく、同じ作業・似た機械を使うほかの場所にも伝えます。だれに伝えるべきかを先に決め、勤務帯・休みの人も含めて、全員に届いたかを確かめます。
4. 読んだかを記録で確かめる
口頭で伝えるだけでなく、文字で残し、だれが読んだかを記録します。まだの人には、その人が次に作業する前に声をかけます(確認のサインが形だけになる理由と対策)。
5. あとから入る人にも届くようにする
対策を決めたあとに配属された人・応援の人は、そのときの説明を聞いていません。手順書や教育の資料に反映し、その機械・作業の連絡として残しておくと、あとから来た人にも届きます。
6. 1週間後・1か月後に、続いているかを見る
決めた日に、確かめる日も決めます。現場で実際にやっているかを見る、同じ不良の件数を数える、作業者に「やりにくくないか」を聞く。守りにくい対策は、守られないまま形だけになるので、やりやすい形に直します。
伝えるときの書き方の例
| 伝わりにくい書き方 | 伝わる書き方 |
|---|---|
| 穴位置ずれの再発防止のため、確認を徹底してください。 | 【2号機・3号機】10/20から、段取りのあとに最初の3個の穴位置を測って、記録用紙に書いてください。 理由:10/8に穴位置ずれの不良が200個出ました。段取りのあとの確認が抜けていたためです。 分からないときは品質保証の田中へ。 |
| 取り違えに注意。 | 【組立ライン1・2】10/18から、A-2051とA-2052の部品箱を色で分けます(A-2051は青、A-2052は黄)。箱の色と指示書の色が同じか見てから組み付けてください。 理由:形が似ていて、取り違えが2回ありました。 |
型は「【対象の機械・ライン】いつから + 作業者がすること + 理由(何が起きたか)+ 連絡先」です。外国人の作業者がいる場合は、短い文で書くと訳しても正確に伝わります。
伝えた記録を残す
再発防止策の報告書(取引先へ出す対策書など)では、「対策を作業者に教育・周知した」ことを書くことがあります。そのとき、次のことが記録で示せると説明しやすくなります。
- いつ、どの範囲(機械・ライン・勤務帯)に、何を伝えたか
- だれが受け取ったか、まだの人はだれか
- 1週間後・1か月後に、続いているかを確かめた結果
監査で聞かれやすいことは品質監査で「伝えた記録」を求められたら、手順や材料を変える場合の伝え方は変化点を作業者全員に伝えて記録に残すには?で紹介しています。
再発防止策の定着チェックリスト
- □ 対策を、作業者がすることとして具体的に書いた
- □ 何が起きて、なぜその対策なのかを添えた
- □ 同じ作業・似た機械のほかの場所にも伝えた
- □ 勤務帯・休みの人を含めて、全員が読んだか確かめた
- □ 手順書・教育の資料にも反映した
- □ 1週間後・1か月後に確かめる日と担当を決めた
- □ 守りにくい対策は、やりやすい形に直した
まとめ
- 再発防止策が定着しないのは、伝わっていない・具体的でない・理由がない・続いているか見ていない、から
- 人の注意に頼る対策ほど、伝え方と確かめ方が大事になる
- 作業の言葉で・理由つきで・同じ作業をする全員に伝え、読んだかを記録で確かめる
- あとから入る人にも届くようにし、1週間後・1か月後に続いているかを見る
機械・ラインごとに対策を残し、だれが確認したか・まだの人までひと目で分かる道具の例として、工場・製造業の申し送り・引き継ぎアプリ「レンバト」も紹介しています。