外国人の作業者に作業の注意点を正しく伝えるには?工場でできる7つの工夫
技能実習や特定技能の外国人作業者が増え、「注意したはずなのに伝わっていなかった」という声を工場でよく聞くようになりました。この記事では、外国人の作業者に作業の注意点が伝わりにくい理由と、現場でできる工夫を紹介します。
伝わりにくい理由
- 専門用語や略語:「バイト」「チョコ停」「段取り」など、現場の言葉は日本語の授業では習いません。
- あいまいな言い方:「ちょっと気をつけて」「いい感じで」「なるべく」は、何をどれだけすればいいかが分かりません。
- 遠回しな言い方:「〜したほうがいいかもね」は、指示なのか、ただの感想なのかが伝わりにくい表現です。
- 漢字の多い文:話せても、漢字の多い掲示やメモは読めないことがあります。
- 「分かりました」の意味:「聞こえました」「了解しました(でも分かっていない)」の意味で使われることがあります。
- 質問しにくい:遠慮や立場の違いから、分からなくても聞き返さないことがあります。
現場でできる7つの工夫
1. 「やさしい日本語」で話す・書く
短い文で、1つの文に1つのことだけを入れます。主語と数字をはっきりさせ、遠回しな言い方を避けるだけで、伝わり方が大きく変わります。
| よくある言い方 | やさしい日本語 |
|---|---|
| 最初の何個かは、ちょっと気にして見といて。 | 最初の5個を測ってください。 |
| 異音がしたら止めたほうがいいかも。 | 音がおかしいときは、機械を止めてください。そのあと、田中さんに言ってください。 |
| バイトがへたってきたら替えといて。 | 外径が0.02大きくなったら、刃(バイト)を新しくしてください。 |
2. 写真や図を使う
傷の位置、ゲージの当て方、置いてはいけない場所などは、言葉より写真のほうが早く正確に伝わります。
3. 母国語の訳を添える
大事な注意点は、母国語の訳があると安心です。機械翻訳を使う場合は、次の点に気をつけます。
- 元の日本語を、短く・主語と数字をはっきり書いておくと、訳もまちがえにくい
- 寸法・数量・品番・時刻などの数字は、訳ではなく元の文でも確かめてもらう
- 現場の専門用語は、訳がおかしくなりやすいので、写真や図と組み合わせる
4. 「分かりましたか?」ではなく、言い返してもらう・やってもらう
「分かりましたか?」には、たいてい「はい」と返ってきます。「何個測りますか?」「止めたら誰に言いますか?」のように中身を聞き返したり、実際にやってみせてもらったりすると、本当に伝わったかが分かります。
5. 読んだことを記録に残す
口頭だけでは、伝わったかどうかがあとで確かめられません。申し送りやルールの変更は文字で残し、読んだ人に確認のサインを残してもらうと、伝え漏れに早く気づけます。
6. 聞き返しやすい雰囲気をつくる
「分からないことは聞いていい」と最初に伝える、同じ国の先輩をペアにする、質問されたらお礼を言うなど、小さな工夫の積み重ねが、事故や不良を防ぎます。
7. 安全のルールは、母国語の教材も使う
安全に関わるルールは、特に正確に伝える必要があります。厚生労働省の「職場のあんぜんサイト」などでは、外国人労働者向けの多言語の安全衛生教材が公開されています。自社のルールとあわせて活用するとよいでしょう。
申し送りでの工夫
交代勤務の申し送りは、外国人の作業者にとって特に分かりにくい場面です。次のような工夫が効果的です。
- 機械番号を最初に書き、「次の人がやること」を1行で分けて書く
- 数字・品番は、訳があっても元の表記のまま残す
- 重要な連絡は、読んだかどうかを確認する
申し送りの書き方は交代勤務の申し送りテンプレート、漏れを防ぐしくみは申し送りの漏れを防ぐ方法でくわしく紹介しています。
まとめ
- 伝わらない原因は、専門用語・あいまいな言い方・漢字・「分かりました」の意味のずれなど
- やさしい日本語、写真、母国語の訳を組み合わせる
- 「分かりましたか?」ではなく、中身を言い返してもらう
- 読んだことを記録に残すと、伝え漏れに早く気づける