段取り替えの引き継ぎで不良を出さないには?途中で交代するときに伝えることと段取りメモの残し方
品番を切り替える段取り替えは、型や治具、設定、材料が一度に変わるため、不良が出やすいタイミングです。さらに、段取りの途中で交代したり、前回その品番を流したときのコツが残っていなかったりすると、まちがいが起きやすくなります。この記事では、段取り替えで不良を出さないための引き継ぎのしかたを、途中で交代するときに伝えること、品番ごとの「段取りメモ」の残し方、初品の確認のルールに分けて紹介します。
段取り替えで不良が出やすい理由
- 前の品番の設定が残る:一部の条件を切り替え忘れて、前の品番の設定のまま流してしまう
- 型・治具・刃物の取り違え:似た形のものを、まちがえて取り付ける
- 材料・部品の取り違え:前の品番の材料が、ラインに残っている
- 途中で人が替わる:交代や休憩で、どこまで終わったかが分からなくなる
- 確認の前に量産に入る:急いでいて、最初の製品を確かめる前に流し始めてしまう
- 前回のコツが残っていない:「この品番は、ここを少し調整しないと合わない」が、ベテランの頭の中にしかない
段取りの途中で交代するときに伝えること
段取りの途中で交代すると、「どこまで終わったか」があいまいになりがちです。次のことを、口頭だけでなく記録で引き継ぎます。
| 項目 | 例 |
|---|---|
| 1. 品番の切り替え(前 → 後) | A-2051 → B-1180 |
| 2. どこまで終わったか | 段取りチェックリストの5番(型の取り付け)まで終わり |
| 3. 替えたもの・まだのもの | 型は交換済み。治具と刃物はまだ |
| 4. 設定(条件)の状態 | 温度は変更済み。速度はまだ前の品番のまま |
| 5. 初品の確認 | まだ(量産しないでください) |
| 6. 気をつけること | 型の左側が少し浮きやすい。締めたあとに隙間を確認 |
特に大事なのは「設定がどこまで切り替わっているか」と「初品の確認が済んでいるか」です。ここがあいまいなまま次の人が流し始めると、不良がまとまって出ます。
段取りチェックリストの例
段取りの手順を番号つきのチェックリストにしておくと、途中で交代しても「何番まで」で引き継げます。
| 番号 | やること |
|---|---|
| 1 | 前の品番の材料・部品を、ラインから片づけた |
| 2 | 次の品番の指示書・図面を確認した |
| 3 | 次の品番の型・治具・刃物を用意し、品番の表示を確かめた |
| 4 | 前の型・治具を外した |
| 5 | 次の型を取り付け、締め付けを確認した |
| 6 | 治具・刃物を取り付けた |
| 7 | 条件(温度・圧力・速度など)を次の品番に切り替え、表示を確かめた |
| 8 | 次の品番の材料をセットし、ロットを記録した |
| 9 | 試し打ち・試し加工をして、初品の確認をした |
| 10 | 初品の確認に合格してから、量産を始めた |
項目は工場や設備に合わせて変えてください。大事なのは、番号で「どこまで」が言えることと、初品の確認の前に量産しないことが決まっていることです。
品番ごとの「段取りメモ」を残す
段取り替えのまちがいを減らすうえで効くのが、品番ごとに、前回の段取りで分かったことを残しておくことです。同じ品番を次に流すのが数週間後でも、別の人でも、前回のコツを引き継げます。
- 調整したところ:「型の高さを標準より0.1上げると合う」
- 出やすい不良:「最初の数個にバリが出やすい」
- 時間がかかったところ:「治具の位置合わせに時間がかかる。先に用意しておく」
- 使った材料・ロット:「前回は〇〇社の材料。替わった場合は初品を多めに測る」
こうしたメモを、その機械・品番の連絡として残しておくと、段取りの前に読むことができます。ベテランが休みの日や、新しい人が段取りをするときにも役立ちます。
初品の確認のルール
段取り替えのあとの初品の確認は、次のことを決めておくと抜けにくくなります。
- 何を、何個、どうやって確かめるか:寸法・外観・数量など、品番ごとに決めておく
- だれが確かめるか:段取りをした人とは別の人が見ると、見落としに気づきやすい
- 合格するまで量産しない:不合格なら、どこを直すかを決めて、もう一度確かめる
- 結果を残す:確かめた人・時刻・結果を記録する
設備を修理したあとの確認のしかたは保全から製造への引き継ぎで修理後の不良を防ぐ方法、材料や手順が変わる場合の伝え方は変化点を作業者全員に伝えて記録に残すには?で紹介しています。
引き継ぎの書き方の例
| 伝わりにくい書き方 | 伝わる書き方 |
|---|---|
| 段取り途中です。続きお願いします。 | 【プレス3号機】A-2051 → B-1180 の段取り中。チェックリストの5番(型の取り付け)まで終わり。速度はまだ前の品番のままです。初品の確認はまだなので、量産しないでください。 |
| B-1180、前回ちょっと合わなかった。 | 【プレス3号機・B-1180】段取りメモ:型の高さを標準より0.1上げると合います。最初の5個にバリが出やすいので、初品は5個見てください。 |
段取り替えの引き継ぎチェックリスト
- □ 品番の切り替え(前 → 後)を書いた
- □ チェックリストの何番まで終わったかを書いた
- □ 設定がどこまで切り替わっているかを書いた
- □ 初品の確認が済んでいるか、まだかを書いた
- □ 前の品番の材料・部品がラインに残っていない
- □ その品番の段取りメモを読んだ(なければ、今回分かったことを残した)
- □ 初品の確認に合格してから、量産を始めた
まとめ
- 段取り替えは、設定・型・材料が一度に変わり、途中で人も替わるため、不良が出やすい
- 途中で交代するときは、「何番まで」「設定の状態」「初品の確認が済んだか」を記録で引き継ぐ
- 品番ごとの段取りメモで、前回のコツを次の人へ引き継ぐ
- 初品の確認は、何を・何個・だれが確かめるかを決め、合格するまで量産しない
機械ごとに段取りの引き継ぎや段取りメモを残し、次の人が「確認しました」を押したかまで分かる道具の例として、工場・製造業の申し送り・引き継ぎアプリ「レンバト」も紹介しています。