工場・製造業の申し送り(引き継ぎ)ツールの選び方|紙・ホワイトボード・LINE・専用ツールを比べる7つのポイント
「申し送りノートが読まれていない」「ホワイトボードが消されて、何が書いてあったか分からない」「LINEで送ったけど流れてしまった」。工場の申し送りを道具で変えたいと思ったとき、どれを選べばいいのでしょうか。この記事では、工場でよく使われている申し送りの道具を比べ、自分の工場に合うものを選ぶためのチェックポイントを紹介します。
工場の申し送りでよく使われる5つの道具
1. 紙のノート・申し送り表
いちばん手軽で、だれでも使えます。一方で、置いてある場所に行かないと読めず、だれが読んだかも分かりません。字が読みにくい、過去の記録を探しにくい、という声もよく聞きます。
2. ホワイトボード
職場の全員が目にする場所に置けば、大事なことを一度に伝えられます。ただし、書ける量が少なく、消すと記録が残りません。「いつ書かれたのか」「もう対応が終わったのか」が分かりにくくなりがちです。
3. LINEなどのチャット
スマホで、離れた人にもすぐ伝えられます。その反面、連絡が次々と流れていき、機械ごとの注意点が埋もれます。個人のスマホに会社の情報が残ることや、辞めた人がグループに残ったままになることも心配です(くわしくは工場の業務連絡をLINEでする問題点)。
4. 日報・帳票のアプリ
紙の日報やチェックシートをアプリに置きかえるタイプです。記録を残して集計するのは得意ですが、「次の人に伝える」「読んだか確かめる」ことは、あまり得意ではないものもあります。
5. 申し送り・現場連絡に特化したツール
機械や工程ごとに連絡を残し、だれが読んだかまで記録するタイプです。交代勤務の申し送りや変化点の伝達に向いています。費用がかかるので、人数と料金のしくみを確かめて選びます。
5つの道具の比べ方
| 紙 | ホワイトボード | LINEなど | 日報アプリ | 申し送り特化 | |
|---|---|---|---|---|---|
| 費用 | ほぼ0 | ほぼ0 | 無料が多い | 有料が多い | 有料が多い |
| 離れた場所から読める | × | × | ○ | ○ | ○ |
| 機械ごとにまとまる | △ | △ | ×(流れる) | △ | ○ |
| だれが読んだか分かる | △(サイン欄) | × | △(人数だけ) | 製品による | ○ |
| 記録が残る・探せる | △ | × | △ | ○ | ○ |
| 外国人の作業者 | ×(日本語のみ) | × | △(各自で翻訳) | 製品による | 製品による |
どれが正解というより、「今の申し送りで、何がいちばん困っているか」で選ぶのが近道です。
選ぶときの7つのチェックポイント
1. 機械(工程)ごとに見られるか
工場の申し送りは「3号機の主軸を交換した」「A-2051は寸法がきつい」のように、機械や品番にひもづく話がほとんどです。時間の順に並ぶだけの道具だと、これから使う機械の注意点を探すのに手間がかかります。
2. だれが読んだか、まだの人はだれか
「伝えたつもり」をなくすには、読んだかどうかが分かることがいちばん大事です。まだ読んでいない人の名前が分かれば、作業の前に声をかけられます。品質監査の「伝えた記録」にもなります(品質監査で「伝えた記録」を求められたら)。
3. 交代勤務・休みの人にも届くか
夜勤明けや、休み明けの人にも、前の勤務帯の注意点が確実に届くかを確かめます。重要な連絡だけスマホに通知が来る、などの仕組みがあると安心です。
4. 現場の人が、迷わず使えるか
手袋をしたまま、油のついた手で、短い時間で使えるか。ボタンが大きいか、文字を打たずに声で入力できるか、作業者一人ひとりにメールアドレスやパスワードが必要ないか。導入の成否は、ほとんどここで決まります。
5. 外国人の作業者に伝わるか
外国人の作業者がいる工場では、母国語で読めるか、原文もすぐ確認できるかを確かめます(多言語の連絡ツールの選び方)。
6. 個人のスマホと、辞めた人の扱い
個人のスマホで使う場合は、辞めた人の端末から見られなくする方法があるかを確かめます。共用のタブレットでも使えると、スマホを使いたくない人にも対応できます。
7. 料金のしくみ
1人あたりの月額か、工場ごとの定額か。外国人も日本人も、管理者も人数に入るのか。最低料金はいくらか。30〜100人規模の工場では、人数が増えたときにいくらになるかを、先に計算しておくと安心です。
導入で失敗しない進め方
- 困りごとを1つに絞る:「夜勤からの申し送り漏れ」「外国人に伝わらない」など、いちばん困っていることから始める
- 1つの部署・ラインで試す:全社で一度に始めると、使い方がばらばらになりやすい
- 今のやり方と、しばらく並べて使う:いきなり紙をやめず、2〜4週間は並行して比べる
- 書き方の型を決める:「機械名・起きたこと・次の人がすること」の順に書く、などの決まりを先に作る(申し送りテンプレート)
- 1か月後に振り返る:申し送りの漏れが減ったか、読んでいない人が減ったかを、記録で確かめる
まとめ
- 工場の申し送りの道具は、紙・ホワイトボード・LINEなど・日報アプリ・申し送り特化ツールの5つ
- 選ぶときは、機械ごとに見られるか・読んだ人が分かるか・現場で迷わず使えるかが大事
- 外国人の作業者、個人のスマホ、料金のしくみも先に確かめる
- 導入は、困りごとを1つに絞り、1つの部署で試してから広げる